2011年8月17日 (水)

綿入り着物を解く

残暑お見舞い申し上げます。

連日暑いですね。それでも少~し秋の気配が感じられるようになりましたが、まだまだ油断できません。
皆様熱中症には充分お気を付けてくださいませ。
私は平気ですよ。既にハンドメイド熱中症になっていますから。

ずっと酷使していたミシンとアイロンを休ませ、できれば駆け足で完成品をアップしていきたいと思っていますが、今日は我流綿入り着物の解き方をご紹介します。
この暑い時期に暑苦しい内容で申し訳ありませんが。

昔、露店だったか、綿入り半纏を手に取り、買おうか止めようか考え込んでいたら、直ぐ隣りに居た年配のご婦人が何を察したか、
「綿の入った着物は、袋に入れたまま庭かガレージで解くといいわよ」 と、仰天するようなアドバイスをしてくださったことがありました。
ただでさえ怪しそうな私が、いくらなんでも外で袋に顔突っ込んでなんて、ますます怪しくなってしまう。笑いを堪えながら御礼を言ったのを覚えています。

古布が好きな手芸仲間でも、綿入り着物を解くのには抵抗があるらしく、
「綿には得体の知れない不気味な物質が沢山詰まっていそうで御免だ」 とかで、そこまで言うか!的なほど嫌がる方がいます (笑)。

綿入りを解くことは、特別大変な作業ではありません。要領さえ掴んでしまえば、意外にも短時間で済みます。
私が提案する解き方のポイントは二つ。
なるべく綿を露出させずに作業することと、
綿とサヨナラするまでは細部まで解かないことです。

新聞紙を広げた上に着物を置き、窓を開け、扇風機で外に空気を逃がすような環境にします。あと用意するのは、リッパーと特大ゴミ袋とゴム手袋です。

kaitai_recipe1

先ずは身頃から袖を離していきます。
袂 (振り) の部分は表布と裏布を離すようにして、糸を切りながらぐるっと一周します。

kaitai_recipe2

もう片方の袖も同様にして縫い糸を切ったら、着物を裏返しにし、今度は裏布の袖付けを外していきます。

kaitai_recipe3

表布裏布とも、これで袖は離れましたが、綿は繋がったままです。
少し袖を引っ張って、綿に鋏を入れ完全に切り離します。
この後、両袖口もぐるっと縫い目を切って解いておきます。

kaitai_recipe4

次は身頃の外周 (渕) の糸を切っていきます。
始点は裾でも衿下でもどこからでも構いませんが、途中で衿を外しながらぐるーーっと糸を切っていき、始点に戻ってくれば、身頃の表布と裏布が離れたことになります。
ここまでの解きは全て着物の表面からの為、まつり縫いのように縫い目が見づらいですから、布まで破いてしまわないよう注意して作業します。

所々布をつまんでみて、綿と縫いとめてある箇所が無いか確認し、無ければ袖も一緒に特大ゴミ袋に入れ、一旦屋外へ持って出ます。
その袋に入れたまま布をめくって綿を外したら、布だけ取り出します。屋外での怪しい作業は5分もかかりませんよ (笑)。

kaitai_recipe5

布に綿が残って入る時は、ゴム手袋をはめた手でなぞると、綿が撚れて纏まり取り除き易いです。

綺麗に綿が無くなった状態で、表布裏布とも身頃の背や脇縫い、袖の袖下などを解きますが、先に洗濯してからでもいいと思います。

2011年7月24日 (日)

布収納改善

猛暑の中休みも3日間で終わり???今日には暑さが戻ってきました。
猛烈に暑い日でも涼しい日でも、手を止めずに作業してはいましたが、前回の更新からリメイク服が完成したのは一着だけ。(^^;実は殆どの時間を製図に費やしておりました。
一着完成させたら、また違うデザインの製図から始めるのが億劫になってしまい、何種類かまとめて製図していたのです。

それと、完成した服をお披露目するなら併せてその製図手順なんかもご紹介できればと思い、手描きのパターンも撮影してみましたが、やっぱり図面は遠近感があると見づらいし、一本線を引いては撮影なんてそんな面倒な事は出来そうもないので、PCソフトを使ってGIFデータでアップしていこうと思ってます。

そんな訳で、今日は先々月に手直しした布収納についてアップします。
昨年だったか何日もかけてハギレを一枚ずつ透明袋に入れて整理したのに、実際は積み上げた中から布を探しては出し入れするのが大変で、布の仕分けからやり直しちゃいました。

cabinet4

見た目は前よりゴチャゴチャ感満載。この画像のキャビネット上半分は全て柄物を収納し、左列は主に木綿、右列は正絹と、左右で素材分けしてみた。
家の中で眠っていたプラカゴや100均で買い足したプラケースを活用して、更に細かく分類も。それでも積み上げた状態の反幅ハギレは、目線の位置にある段に収納したら断然取り出し易くなった。
半幅ハギレは右列下段にあるように、サイズに合ったチャック付き透明袋に入れ替え、プラカゴに立てて収納した。

cabinet3

上二段に収めたA4レターケース群には、骨董市やオークションなどで買い求めた、比較的高価で希少なコレクション性の高いハギレを入れている。
それぞれ木綿なら型染、大正更紗、絣、縞・格子、正絹では大島紬や古代縮緬、生紬など、今はまだ安易に手を付けてはいけない禁断の布なのだ。

placase

出番が何時になるか分からないことや蓋付き容器ということもあって、手洗い後は防湿剤を入れて保管。

plabox

その横にできたデッドスペースには、製作残布など半幅にも満たない小さなハギレを、スライダー付き袋に入れてからプラボックスに立てて収納。

cabinet5

所変わってキャビネット下半分は、無地布スペース。木綿の他に無地大島紬やモスリンがビッシリ。
同色毎に袋に入れ二つ折りにして立ててみたけど、これは無理がありそう。手持ちのブックエンドを利用するなどしてもっとすっきりさせねば(汗)。

何とか波乱万丈?の布整理もこれで完結できたような気がしてます。
これでもキャビネットはバッグやポーチ・ケース作り用のハギレ類だけで、リメイク服用の解き布は洗濯後に衣装ケースに入れて押入れに収納してます。

2011年6月29日 (水)

着物リメイク服初作品

早いもので、今週で一年の折り返し地点。
まだギリギリ6月だと言うのに連日真夏のような暑さのなか、節電ムードもあって夏本番を前にバテてしまいそうだけど、猛暑だった去年のように 「暑い~暑い~」 と喚いて終わらせたんじゃ勿体無いんで、着々とハンドメイドは進めておりますが、今日は完成済みの着物リメイク服2点のアップです。

先ずは、とっくの昔 ( 昨年秋 ) に製作して、箪笥に仕舞いこんであったワンピースから。

remake01_f1

アンティークの羽織から作りました。
素材は正絹で、ハリもコシも全く無いスルスルとした錦紗です。
ピンクとブルーの細縞に花丸紋が配置され、更に地模様まである派手さ。
この柄の雰囲気を私はアナスイチックと呼んでいる。

remake01_f2

前身頃は一枚の反幅両サイドに半幅を縫い足してあります。
ウエストの紐は脇では無く、その接ぎ合わせ位置に挟みました。

remake01_b

後ろ身頃は反幅2枚を使い、その中心の接ぎ合わせから着脱しやすいように10cm程のアキを作りました。
基本的に紐は後ろで結ぶようにしましたが、前で結ぶとなると、一度後ろに回してから前へ持ってきて結ぶ形になるので、紐はかなり長めにできています。

お次は完成ホヤホヤの膨張色ワンピース。

remake02_f1

ウールのような厚さと手触り感のある正絹で、着物地にしては丈夫そうです。
前身頃はスクエアネックにし、アンダーバスト位置でヨーク切り替え。
切り替えの上側は、布を横向けにして裁ったので継ぎ合わせはありません。

remake02_f2

切り替えから下側のスカート部分では、布の接ぎ合わせ位置にタックを持ってきています。

remake02_b1 

後ろ身頃も前身頃と同様に布を横向けに裁ち、アキ無しのVネックにしてみました。
何故Vネックにしたかと言うと、前後ろ逆着用OKの、一枚で二度美味しい?服にしてみたかったからでございます。

remake02_b2

スカート部分は、反幅2枚を繋げた中心にタックを設けました。
中途半端に残った布で、脇にポケットなんぞも作っちゃいましたが、前後ろ逆に着用すると、ポケット布がお尻に張り付く感じで機能しなくなるけど、まぁいいか。(^^;
裾も裁ち目かがりしただけで始末していないのは、着てくださる方が現れたら、お好みの長さに裾上げしようと思っているからです。

次作はいよいよ解き終わった作務衣から、普段着へのリメイクです。超が付くほどシンプルなデザインですが、レシピ付きでご紹介する予定です。
その前に、古着を解く方法とかをアップするかもしれません。

2011年5月27日 (金)

一難去ってまた一難?

新緑の香り漂う季節に入り、あの拷問のような単純作業から開放された勢いで、今月はのんびりし過ぎてしまいました。
いざハンドメイドの時間が取れるようになると、どれから手を付けようか迷ってしまい、また布選びを兼ねて整理なんぞもしていたのだけど、どうも棚の隅に鎮座している過去の製作残布のUSAコットンの塊が気になって気になって仕方ない。で、思い切ってこの手の布には見切りをつけることにし、誰かに使って頂けるよう、パッチワークキットにして某レンタルボックスに置くことにした。
もう、可憐なフラワープリントから完全引退だな。

そして先日、ちょっとだけ布が片付いてすっきりしたところで、近くのショッピングセンターの服飾コーナーへ偵察に行くも、参考になりそうなデザインがあるかと思いきや、右を見ても左を見ても花柄とフリフリだらけ。当然そそくさとそのお花畑を後にし、次は書籍コーナーで立ち読みだ。
着物リメイクの本って何冊もあるのね。パラパラと覗かせてもらったけど、うーーん、どうみても私の目指しているものとは違うし、中には着て歩くと景観条例にひっかかりそうな服も・・・( ̄Θ ̄;)

結局、何も収穫が無いまま、やっぱり自分で一から考えるしかないかと思っていた矢先、連日報道されている被災地のニュースを味噌汁すすりながら観ていたら、おぉーひらめきました。それは、
昔の野良着を現代の日常着にリメイクする
発想が不謹慎だと不愉快にさせてしまったら御免なさい。でも、大したものではないけど、貴重品を身に付けられるエプロンとか、両手が自由になる3Wayバッグまでも思いついちゃったから、お役に立てられればお許しを。

そうとなったら、布選びの早いこと!先ずは超シンプルなトップスからってことで、ずーっと箪笥に眠っていた、亡き祖母のお下がりの作務衣や絣の半纏をひっぱり出し、解くことに。ところが・・・
あ゛ぁーっ、ミ、ミシンで縫ってあるじゃないの!しかも細かい目で。(|||_|||)

と言うことで、これに関してはもう少しお時間を頂いてから、レシピ付きでアップさせてください。おっと、未完成のまま何ヶ月も放置していたリメイクワンピースもあったのでした。

2011年5月 1日 (日)

貧乏暇なしでございました

長らくお暇を頂いたようになりまして、更新が大幅に遅れ申し訳ありません。
あの東日本大震災発生からずっと、先月22~25日に行いました和布イベントの準備に追われていました。
そのイベントは、前回と比べて客足は3割あるかないかでしたが、売り上げは倍増したという不思議な結果となりました。おそらく自粛ムードによって出費を控えられた方と、こんな状況下こそ精力的に製作活動をされようと、大量まとめ買いされた方とに二極化したのだと解釈しております。
ご来場下さった皆様本当にありがとうございました。

さて、ここからはこのブログで言うことでは無いと承知しながら、盛大に愚痴を述べさせて頂きます。(^^;
それは自分で企画して和布を地元で販売しようと始めた事なのに、膨大な準備作業に挫折したことです。
少しでも良い形でご提供できるよう、一枚一枚布の折痕をアイロンで伸ばし、採寸し、透明袋に挿入して値札を貼る。この単純作業を延々と続けることが、自分には全く苦痛そのものであり不向きだと実感致しました。大好きなハンドメイドも一つも完成できません、これでは。

我儘を言わせて頂くと、常にクリエイティブでありたいし、作り手でありたいのです。

それでも、たった年に2回のイベントでもお越し下さる方がいらっしゃる以上、ばっさりと辞めるつもりはありません。ですので、次回9月末開催では和布の販売形態を、お手入れ無しの裸の測り売りとし、手作り品メインとさせて頂こうと思っております。

大げさですが、パターンを考える時間、ハンドメイドの時間が全く取れない生活は、私にとって精神衛生上良いことではないようです。これって、ハンドメイド中毒なのでしょうか。
愛好家の皆様、心当たりありませんか?(笑)

2011年3月12日 (土)

心よりお見舞い申し上げます

昨日夕方になってTVを付け、目に飛び込んできた悲惨な映像に、東北で大地震が起きたことを知りました。もうただただ驚くばかりで言葉になりません。

亡くなられた多数の方々のご冥福と、一人でも多くの方のご無事、一日も早い復旧をお祈りします。

安全な場所に避難されていても、とても不安で不自由な状況だと察しますが、どうか落ち着いて身を守っていただきたいと思います。

2011年2月13日 (日)

残り布で作る鍋つかみ

この冬は何十年ぶりかの大雪となって、家に篭りがちの生活をしていたとういうのに、あまりハンドメイドは思うように進んでいませんでした。
年明けの意気込みは何処へやら~です。

実は先日まで亭主は、有料になったり無料になったりする道路の夜間パトロールを任され、夕方4時出勤の翌朝9時頃帰宅。当然昼間に口開けて爆睡しているわけですが、ミシンの音はうるさくて目が覚めるんだそうです。
ならばと、また布の整理や製図に没頭していたところ、ニュースを観ていた亭主は、俺の出番だとばかりに慌てて旅支度をしていざ空港へ。
と言うのは冗談で、今度は長期県外出張となり、現在私は一人暮らしを満喫しつつ、ミシンがけを再開しております。

そんな家の事情はさておき、今日はひっさしぶりに小物レシピをアップします。
初めに申しておきますと、これは私がデザインした物ではありません。
とある面識の無い方が自分用に作られて、それを古布で商品化したらどうかとの提案が回りまわって来たので、とりあえず作ってみただけです。
が、もしやと思い画像検索してみたら、既にそっくりなのが商品として存在していますので、ここでは残り布の有効活用としてレシピを参考にして頂けたらと思います。

残り布の他に用意するのは、接着芯と化繊綿だけ。化繊綿は100均のもので充分です。

nabetukami_recipe1

本体布は1cmの縫い代を含めて14×20cmを2枚用意し、接着芯を貼ったら中心に糸印を付けます。
先にフックに掛ける1cm巾×10~12cmの紐状と、指先をホールドさせる2.5cm巾×14cmの帯状のパーツを作っておきます。

nabetukami_recipe2

画像のように、二つのパーツを本体布に配置して仮止めします。

nabetukami_recipe3

本体布2枚を縫い合わせます。必ず、パーツを付けていない短辺に返し口を設けてください。

nabetukami_recipe4

表に返したら、返し口から綿を片側分だけ詰め、糸印上にミシンをかけて封じます。その後もう一方に綿を詰めて、返し口をコの字はぎで手縫いして完成です。

nabetukami_recipe5

持ち易さを考えて、この指先のパーツだけ、私がオリジナルに付け加えさせていただきました。くるっと反対側に回して、両面使用できます。

nabetukami

私は厚手の木綿古布で作ってみましたが、熱に強ければ現代布でもパッチワークしたものでも何でも良いと思います。 暇をみて幾つか作っておけば残り布を捨てずに済むし、実用品なのでちょっとしたプレゼントにもいいかもしれません。
と、お勧めしている私は布巾を代用してますが。(^^;

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